今まで、実際にご依頼のあった遺留分問題の事例をご紹介します。 1.「不公平な遺言を見せられ、どうしたら良いか分からない」長男に全て相続させるという遺言があった 父親が亡くなった後、兄から遺言を見せられた弟の例です。 貯金と、不動産が遺されていた まずは、自分のおかれている客観的な状況を把握することが先決となります。 遺留分を取り戻すことができた 遺留分があることが確認できたので、兄に対して、遺留分減殺の意思表示を行いました。意思表示を行っただけでは相手が何も言ってこなかったため、遺産の一覧表を作成して協議交渉の申し入れをしました。 2.「本人が書いた遺言ではないと思うので、遺言をなかったことにしたい」自分の取り分が全くないという遺言を見せられた アルツハイマーの父親が亡くなった後、兄から不平等な遺言を見せられた妹の例です。 負けても良いのでチャレンジしたい このような場合は、遺留分の問題ではなく、遺言の無効の問題となります。 公正証書で作成されている遺言は、無効にすることが難しい 施設入所後のカルテや看護記録類の開示を受けたものなど、集められる限りの資料を集めて裁判に臨みました。 3.「遺産の管理をしている人が何も教えてくれない」遺言があるのかさえもわからない 結婚して家を出た娘さんの例です。 長男にすべて相続させる遺言があった 遺産の問題を話し合おうとしているときに、遺産の管理をしている人が何も見せてくれない場合は、その人に有利な公正証書遺言があることが大半です。ですから、まずは公正証書遺言の存否を確認します。 協議の結果、遺留分を取り戻すことができた 遺言があることと、遺留分があることがわかったので、遺留分減殺の意思表示を行い、協議交渉の申し入れを行いました。依頼者が協議交渉を求めても、相手が応じないという場合でも、弁護士から求められて黙殺する人はあまりいません。協議の結果、相応額の遺留分を取り戻すことができました。 4.「相手が遺産を隠している可能性がある」遺産目録にある以外にも不動産があるはず この方は、父親が亡くなり、兄に対してすでに遺留分の請求を行っていました。依頼者の記憶では、父親は複数の不動産を持っていたはずなのに、遺産目録の記載には、自宅不動産とわずかな預貯金しかありませんでした。他の不動産の存在について兄に開示を求めたところ「遺産はこれだけである。それ以外について協議をする考えはない」といわれてしまったそうです。 20年前に、不動産が生前贈与されていた 他にも財産があるかどうかは、基本的に自分の力で調査していきます。裁判所では、「ほかにも遺産があるというのであれば、存在を証明してください」といわれます。しかし証明しようにも、相手は意図的に隠しているのですから、相手に何度問い合わせても時間を浪費するだけです。 協議の結果、遺留分の増額を得ることができた 遺留分を算定する元となる遺産には、生前贈与されたものも含まれます。これらの証拠を提示して、生前贈与を付加して再度、遺留分の計算をすることを求めました。協議の結果、相応の遺留分の増額を得ることができました。 5.「相手が提示している評価額が低く、納得できない」不動産の評価額が低いので上げてほしい 父親が他界して、長男に全財産を遺す、という遺言があった女性の例です。 相手の出してきた評価額の1.5倍の遺留分が想定された 遺留分の不動産の評価は時価評価で行うことになっています。通常、時価は相続税の評価額を1.2倍程度は上回ります。時価といっても、簡単に判明しませんので、まずは不動産業者に査定をしてもらいます。不動産業者の査定は、不動産鑑定士のする鑑定とは異なりますが、売却するとした場合の目安が分かりますので、時価を推察する資料とはなります。 最終的に、当初の評価額の1.35倍で解決した 試算した資料を添付して協議を求めたところ、相手も弁護士をたて、当初の1.2倍の評価額を提案してきました。相手側の弁護士と協議を重ね、最終的に、当初相手が言っていた評価額の1.35倍で解決することができました。 6.「不動産を金銭で精算したいが、相手が応じてくれない」調停が終了したが、金銭精算に応じてもらえなかった 兵庫県に不動産が遺されていた、神奈川県在住の女性の例です。相手は、埼玉県在住の長男でした。 遺留分の裁判を開始した 民法では、不動産などの「物」の遺留分は金銭ではなく、共有持分で精算するのが原則と記載されています。(共有持分というのは、その物について持っている所有権の割合の事です。) 金銭精算することで解決できた 遺留分の裁判では、予想通り、相手は金銭での精算には応じないと主張してきました。しかし、こちらが、遺留分の訴訟は早期に終了して、共有物分割の裁判をする予定であることを全面に出したところ、相手も、共有物分割の裁判は嫌だったようで、金銭精算をすることで解決ができました。 7.「調停中だが、調停委員がこちらの言い分を聞いてくれない」調停委員が相手に有利な指揮をしている 自分で調停を進めていた女性の例です。 裁判も視野に入れていると言うだけで流れが変わる 調停委員の性格や能力にはバラつきがありますので、弁護士からみても、良い調停委員と悪い調停委員がいるのは事実です。今回の調停委員も、相手の言うことを聞くようにとしきりに要求しており、調停の進行方法としては疑問のある進め方をしていました。 調停委員が公平な進行をするようになった その後、裁判になっても構わないし、裁判になった場合には、当事務所に依頼ができるという安心感によって、依頼者の調停での対応が変化しました。すると、調停委員の態度にも変化が出て、公平な進め方に変わったそうです。 8.「裁判を進めているが、裁判官の言っていることが理解できない」自分で裁判を進めていた 調停で解決できずに、裁判になってしまった男性の例です。 裁判所はアドバイスをしてはいけない 裁判では、裁判官が一方の肩を持つわけにいきません。ですから、弁護士をつけていないからといって、裁判官が親切に教えてくれることはありません。手続的なことはある程度指導してくれますが、裁判の中身や必要な立証についてはアドバイスしてはいけないことになっています。 弁護士に依頼して解決した 弁護士は常日頃から法廷に立っていて、裁判官とのやりとりも慣れています。ですから、裁判官が言った事の意味を理解し、主張しなければならないことを即座に把握できます。この方は、当事務所に裁判の代理を依頼することで、裁判官の言葉を理解する必要がなくなりました。 |
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